
建設現場や災害復旧などでよく見かけるアームロール車は、荷台にコンテナを積載・運搬するための特殊車両です。その独特な構造と操作方法、そして様々な用途について、この記事で詳しく解説します。アームロールの基本的な操作方法から、安全に操作するためのポイント、さらに中古車購入時の注意点まで、網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
アームロールとは?

参考:準中型免許対応3.5t車級アームロール | 新明和工業株式会社 特装車事業部スペシャルサイト
アームロールは専用のアーム機構を備えたトラックで、コンテナの積み下ろしを効率的に行える特徴があります。通常のトラックでは、荷台が車両と一体化しており、積載作業にはフォークリフトやクレーンが必要になります。
しかし、アームロールはコンテナを独立して運搬・設置できるため、作業の手間を削減し、時間短縮にもつながります。積み下ろし場所の選択肢が広がることで、現場ごとの状況に応じた柔軟な運用が可能です。この特性により、建設現場や廃棄物処理、物流業務など幅広い分野で活用されています。

アームロールの役割

アームロールは、多様な荷物を効率よく運搬できる特殊車両です。コンテナの脱着機能を活用することで、建設現場や農業、廃棄物処理など幅広い業界で活躍しています。
一般的なトラックとは異なり、コンテナごと荷物を運べるため、積み下ろしの時間を大幅に短縮できます。また、砂利や土砂、液体物など形状の異なる荷物にも対応できるのが強みです。
さらに、荷台を傾けて中身を降ろしたり、専用コンテナを使用して特定の作業を効率化したりすることも可能です。

アームロールの操作に必要な免許

アームロールの運転には特別な免許は不要で、車両の総重量に応じた運転免許があれば操作が可能です。しかし、コンテナの積み降ろしには正確な操作が求められるため、実際の現場で使いこなすには練習が必要です。
特に、コンテナの位置調整やアームの動かし方に慣れることが重要で、未経験者は最初に経験者の指導を受けながら操作するのが望ましいでしょう。適切な手順を身につけることで、安全かつスムーズに作業を進めることができます。

アームロールの基本的な操作方法

アームロール車の操作は、正しい手順を守ることで安全かつ効率的に行えます。まず、クラッチを切り、PTOスイッチを作動させます。
次に、ジャッキが装備されている場合は安定性を確保するために展開し、車両がしっかりと地面に固定されていることを確認します。その後、アームを下げ、コンテナのフックに正しく引っ掛けるよう車両を後退させます。
フックが確実に固定されたら、アームを操作してコンテナを荷台へ引き上げましょう。最後に、コンテナが適切な位置に収まっていることを確認し、ジャッキを格納して作業完了です。

アームロールを操作する際のポイント

アームロールは、作業効率を向上させる反面、重量物を扱うため、操作には細心の注意が必要です。安全かつ効率的に作業を行うためのポイントを以下にまとめました。
広いスペースを確保する
アームロールでコンテナを下ろす際は、あらかじめ設置場所を慎重に確認することが重要です。コンテナは重量があるため、一度設置すると人力で動かすのは困難です。
そのため、作業スペースに十分な余裕を確保し、障害物がないか確認しておきましょう。また、万が一の落下や位置ずれに備え、左右や後方に余裕を持たせることも大切です。
特に狭い場所での作業は危険を伴うため、可能な限り広いエリアで作業を行い、安全を確保しながら慎重に操作しましょう。
安全確認を徹底する
アームロールの操作時には、安全確認を徹底することが不可欠です。特にコンテナの積み下ろし作業では、周囲の状況を把握し、事故を防ぐための対策を講じる必要があります。
作業開始前に、周囲に人がいないか確認し、可能であれば誘導者を配置するのが望ましいでしょう。また、運転席から見えにくい死角があるため、車両から降りて直接確認することも重要です。
わずかな不注意が重大な事故につながる可能性があるため、一つひとつの動作を慎重に行い、安全を最優先に作業を進めましょう。

アームロールを操作する際の注意点

アームロール車は重量のあるコンテナを扱うため、安全確認は事故防止のために必要不可欠です。安全確認を怠ると、コンテナの落下や接触など、重大な事故につながる可能性があります。
そのため、作業開始前、作業中、作業後など、あらゆる場面で安全確認を徹底することが重要です。作業前に確認すべき主なポイントは以下の通りです。
コンテナが固定されているか確認する
アームロール車で走行する前に、コンテナの固定状態をしっかりと確認することが重要です。コンテナが確実に装着されていないと、走行中に落下する危険があり、重大な事故につながる可能性があります。
また、コンテナに扉がある場合は、確実に閉まっているか点検し、シートや固定具の取り付け状態も忘れずにチェックしましょう。荷物が飛散すると交通の妨げになるだけでなく、積み直しの手間もかかります。出発前には必ず安全確認を行い、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
積載物の量に注意する
アームロール車を使用する際は、積載量の管理が非常に重要です。貨物車には最大積載量が定められており、それを超えて荷物を運ぶことは禁止されています。
特に、コンテナごと積み下ろしを行うアームロールは、積載物の総重量を把握しないまま運搬すると、知らずに過積載となる危険があります。
過積載は車両のバランスを崩し、制動距離の延長や横転のリスクを高める原因となるため、事前に重量を確認し、安全基準を守ることが必要です。違反を防ぎ、安全な運行を徹底しましょう。

中古のアームロールを購入する際の確認箇所

中古のアームロールを購入する際は、ベース車両とアーム部分の状態を注意深く確認することが重要です。購入後に想定外の修理費用が発生するのを防ぎ、安全に運用するためにも、以下の点に注意して確認しましょう。
ベース車両
アームロール車を使用する際は、PTOの動作確認を十分に行うことが重要です。PTOが正常に作動しないと、アームの動きが制限され、作業ができなくなるだけでなく、事故の原因にもなりかねません。
また、車両を選ぶ際は、年式やメンテナンスの履歴、最大積載量などの基本的な点も慎重にチェックする必要があります。特に中古車を購入する場合は、過去の使用状況を確認し、不具合がないか入念に点検しましょう。安全でスムーズな運用のために、事前の確認を徹底することが大切です。
アーム部分
アームロール車を選ぶ際は、アームの動作確認が重要です。キャビン内の操作パネルとリモコンの両方が正常に機能するか確認し、アームの可動範囲や動きのスムーズさをチェックしましょう。
また、万が一のトラブルに備え、緊急停止ボタンが適切に作動するかも試しておく必要があります。さらに、コンテナのレールやローラー部分が摩耗していないか、動作に支障がないかも確認すると安心です。これらの点を事前にチェックすることで、安全かつ円滑に運用できます。

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アームロールでよくある3つの質問

アームロールの使い方や特徴についてよくある質問をまとめました。
質問1.アームロールとフックロールの違いは?
アームロールは、メーカーごとに異なる名称で呼ばれることがあります。新明和工業株式会社の「アームロール」は広く知られていますが、極東開発工業株式会社では「フックロール」として販売されていました。
また、イワフジ工業株式会社が「ロールリフト」、ヒアブが「マルチリフト」という名称を用いるなど、同じ脱着ボディーシステム車でも呼び名に違いがあります。ただし、名称が異なっても基本的な構造や機能に大きな差はなく、いずれもコンテナの脱着をスムーズに行うための仕組みを備えています。
質問2.アームロールの代表的なメーカーは?
アームロールを製造する主要な架装メーカーをご紹介します。
メーカー名 | 特徴 |
新明和工業株式会社 | 新明和工業株式会社は、航空機やパーキングシステムなども手がける日本の大手メーカーで、アームロールの分野でも高いシェアを誇ります。脱着ボディーシステム車の分野でパイオニア的存在であり、国内で多くの導入実績があります。 |
極東開発工業株式会社 | 極東開発工業株式会社は、日本国内で幅広い特殊車両を提供しているメーカーです。アームロールを「フックロール」として展開し、中小型から大型まで豊富なラインナップを揃えています。 |
質問3.アームロールはどれくらいの重さのコンテナを運べる?
アームロール車にはさまざまなサイズがあり、車両の大きさに応じて積載可能なコンテナの重量も異なります。最大積載量は車種ごとに異なるため、具体的な積載量を把握することが重要です。
また、積載重量にはコンテナ自体の重量も含まれるため、実際に積み込める荷物の量は、最大積載量からコンテナの重量を差し引いた値となります。適切な積載量を超えると安全性に影響を及ぼす可能性があるため、作業前に車両ごとの仕様を確認し、適正な荷重で運用することが求められます。

まとめ

本記事では、アームロールの役割や操作方法、注意点などを解説しました。アームロールは脱着可能なコンテナを運搬する特殊車両であり、さまざまな産業で活躍しています。
操作には一定の技能と免許が必要となるため、安全確認を徹底し、積載物の量にも注意を払うことが重要です。中古車購入の際にはベース車両やアームの状態をしっかり確認しましょう。
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