
工事現場のホコリを抑えたり、道路を冷却したりと、縁の下の力持ちとして活躍する「散水車」。実は、給水車や散布車など似た車両が多く、違いがよく分からない方も多いです。そこで本記事では、散水車の基礎知識から、給水・散水方法、必要な免許、そして給水車や散布車との違いまで、プロが分かりやすく解説します。散水車の購入やレンタルを検討している方、特殊車両についてもっと知りたい方は必見です。
散水車とは?

散水車は、道路の清掃や環境整備のために活躍する特殊車両です。主な役割は、道路上の砂埃や細かいゴミが舞い上がるのを防ぐために水を撒くことや、清掃後の路面を洗い流すことにあります。
車両の荷台には大容量のタンクが搭載されており、2000ℓ以上の水を蓄えることが可能です。タンク内の水はポンプを使って散水され、道路の状況に応じた適切な量を噴射できます。この機能により、快適で清潔な道路環境の維持に貢献しています。
参考:PTO式 散水車 | 製品情報 | 極東開発工業株式会社
散水車の構造や種類
散水車は、水を貯蔵し散布する機能を持つ特殊車両です。用途に応じてさまざまなサイズや形状があり、大型タンクを備えたタイプも存在します。
散水車には「PTO式」と「外部エンジン式(エンジンポンプ付散水車)」の2種類があり、PTO式は車両本体のエンジンを利用してポンプを動かす仕組みです。一方、外部エンジン式は専用エンジンを備えており、安定した水量を確保できる利点があります。
また、散水方法も異なり、車両の下部から広範囲に水を撒くタイプと、ホースを使い特定の場所へ放水するタイプが存在します。
散水車の用途
散水車は、さまざまな場面で水を撒く役割を果たす特殊車両です。道路関連では、一般道や高速道路の清掃、トンネルの壁面洗浄、凍結防止剤の散布、アスファルトの冷却などに使用されます。
特に路面清掃では、散水によって埃の飛散を防ぎながら、後部のブラシで汚れを除去する機能を備えています。また、都市の街路樹や芝生エリアへの水やりにも活用され、植物の健全な成長を支えます。
さらに、工事現場では粉塵の抑制、製鉄所では冷却用の散水にも利用され、競馬場では砂塵防止のためにコースへ適切な量の水を撒く役割を担っています。

散水車の給水・散水方法

散水車を使用する際は、正しい手順で給水と散水を行うことが重要です。特にPTOタイプの操作では、安全に作業を進めるための確認が必要になります。
給水を行う際は、まずタンク横の切り替えハンドルを「停止」にし、呼び水を十分に入れた後、吸水ホースを水源に入れます。次に、運転席でPTOスイッチをONにし、吸い込みバルブを操作することで給水が開始されます。
給水が完了したら、ストレーナー内の残水をしっかり抜いておくことが大切です。一方、散水を行う場合は、ジェットポンプに呼び水が入っていることを確認し、ノズルのレバーを開いた状態で排出設定に変更します。その後、エンジンポンプを作動させ、適切な圧力で散水を開始します。

散水車に必要な免許

散水車を運転するためには、車両の総重量に応じた運転免許が必要です。一般的な普通免許では、車両総重量3.5t未満、最大積載量2.0t未満の車両のみ運転可能ですが、多くの散水車はこの範囲を超えるため、準中型免許や中型免許、大型免許が求められます。
なお、散水作業自体を行うために特別な資格は不要ですが、安全な操作のために車両の特性を理解し、正しい運転技術を身につけることが重要です。また、免許制度は2007年の改正により変更されているため、適用される免許区分を事前に確認することが大切です。

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散水車でよくある3つの質問

質問1.給水車や散布車との違いは?
散水車と外観が似ている車両として「給水車」があります。給水車は、主に飲料水を輸送する目的で使用されるため、散水車とは異なる役割を持ちます。
また、「散布車」という車両も存在し、こちらは農業や道路管理の分野で薬剤や肥料を散布するために活用されます。散水車は水の散布に特化していますが、散布車はさまざまな液体や固体の資材を広範囲に撒くことができるため、より多目的に利用されることが特徴です。
質問2.散水車を製造する主要メーカーは?
散水車は、トラックメーカーが製造したキャブ付きシャーシに貯水タンクや散水用ポンプを搭載して完成します。その架装を行うメーカーとして新明和工業・極東開発工業・マツモト・三和運輸工業などが大きなシェアを占めています。
新明和工業は、散水車のほか、ダンプカーやミキサー車、パッカー車など多様な作業車両を製造し、PTO式・外部エンジン式の両方式を展開しています。極東開発工業も特殊車両を手掛け、コンクリートポンプ車などの製造販売を行っています。
マツモトは散水車の専門メーカーで、自動急速給水システムの特許を取得しています。三和運輸工業はクレーン車や高所作業車を扱い、製鉄所向けの特殊散水車も製造しています。
質問3.中古の散水車を購入する際のチェックポイントは?
散水車は、トラックメーカーが製造するキャブ付きシャーシに、架装メーカーが貯水タンクや散水用ポンプを取り付けて完成します。適切な運用を行うためには、ベース車両が良好な状態であることが重要です。
年式や走行距離、メンテナンス履歴を確認し、油漏れや異常がないかチェックすることをおすすめします。また、タンクの容量によって車両の区分や運転免許の種類が異なるため、事前に確認しておく必要があります。

まとめ

本記事では散水車の構造や種類、給水・散水方法、必要な免許に加え、給水車や散布車との違いといったよくある質問にもお答えしました。 散水車の導入を検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしていただき、目的に最適な1台を見つけてみてください。
なお、トムコでは架装や修理・部品調達まで、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。「特殊車両の導入を検討しているが、時間や費用、専門知識などの課題を抱えている」や「スポットの運行や作業が多く、新車導入の費用対効果が見込めない」といったお悩みをお持ちのお客様は、ぜひトムコの「特殊車両の早期収益化」サービスをご検討ください⇛トムコに相談する
